社会福祉法人わんぱく福祉会 射場小百合さん

社会福祉法人わんぱく福祉会理事長の的場さん。普段の活動や、ここっちゃへ参加したきっかけ、これからについてお話を伺いました。

――普段、どのような活動をされているのか教えてください。

障がいのある方がのびのびと活動できる施設を運営しています。

わんぱくハウスでは、児童発達支援、放課後デイサービスを行っています。重度障がいから軽度障がい、知的障がいをお持ちの18歳までお子さんをお預かりしています。

おおぞらハウスは、生活介護から就労継続支援を行っています。就労継続支援B型からA型、就労移行支援、一般就労へ向けてステップアップできる多機能型施設となっています。
設立後に知ったのですが、このような施設は福岡初だったんです。

――活動のきっかけとなったことはありますか。

息子が二人いますが、次男を妊娠中に切迫流産になりました。
当時、私は保育士をしていて、保育園には一時預かりがあることは知っていました。誰でも預けられると思っていましたが、自分が具合が悪いという理由だけでは、預かってもらえなかったんです。
そういう現実を目の当たりにして、どんな理由でも預かってもらえるところがあればと考え、自宅を開放し、困った人が誰でも預けられる施設を家庭保育園というかたちで、わんぱくハウスはスタートしました。

お子さんを預かっているうちに、疾患や障がいを持っている子どもを預かってもらえないかという相談が増えました。本当に小さな家庭保育園だったのですが、すぐにいっぱいになるくらい、悩みを持った保護者の方は多かったんです。

おおぞらハウスは、18歳になりわんぱくハウスを卒業しなければならなくなったお子さんの親御さんからの相談がきっかけです。お子さんが「わんぱくハウスから離れたくない」とのことで、仕事をさせてもらえないかと。
その頃はまだ、就労支援をしていませんでしたので、職員会議で何度も話し合い、清掃員という案が出て実際に実習に入ってもらうことになり、一か月の実習が終わって感想を聞いたところ、「楽しかった。続けたい」と言うんです。職員会議をして、一般就労で入ってもらうことになりました。

以前から保護者の方の希望はありましたので、生活介護、就労移行のステップアップできる施設を作ろうということになり、誰でも受け入れられるようにするには、多機能型のステップアップできる施設が必要ですので、直方市の方にも掛け合い理解していただいて、実現できたというところです。

――活動される中で、こだわりはありますか。

生後4か月から預かっているお子さんが、今は中学生になり、ここでは長いスパンで子どもたちの成長を見ることができるので、嬉しいですね。

長期休みや土曜日は、小さなお子さんや小学生のお子さんたち皆が一緒にいます。
私たちがお世話してあげてと言わなくても、大きな子が小さな子のお世話をしますし、小さな子もお兄ちゃんお姉ちゃんが好きなので、兄弟のように育ちあっていきます。

子どもたちがここで訓練して、一般就労を目指してほしい、自分の力で歩けるようになってほしいと思っています。

――ここっちゃでは、どのようなカタチで出店されますか。

障がいを持った方の、色々な手作り作品がありますので、展示販売させていただきながら、米粉のチーズケーキも作っていますので、定期的に販売させいただきたいと考えています。
米粉は直方市のふくのこを使っていて、小麦アレルギーのある子でも食べられるようにと、米粉を使ったお菓子作りに力を入れているところです。

――今回、出店されるきっかけがあったら教えてください。

米粉のチーズケーキを少しでも多くの方に知ってもらいたい。そして、福祉を一人でも多くの方に理解していただきたいという気持ちがあります。
障がい者の方たちが、自分たちで作る、頑張る、そして発信していくことが大事だと思っています。
ここっちゃができると聞いて、これは福祉を一般の方に知ってもいただく良いチャンスですし、不自由さを持っていても皆で頑張っていくことができることを、少しでもアピールできれば嬉しいですし、良かったら参加させてもらえませんかとお伝えしました。

――ここっちゃへ出店されるにあたって、何かイメージされることはありますか。

米粉のチーズケーキがふるさとの味になると嬉しいなと思っていて。帰省した時に、懐かしいといった気持ちになってもらえるような、街に溶け込んだチーズケーキになるといいなと思っています。

――ここっちゃの出店で、何か心配なこととかありますか。

想いだけでここまで来ました。心配なことは、特にありません。

なぜ、これだけ頑張れるんですか?とよく聞かれるんですけど。
保育士として、今までは自分が子どもたちを抱っこしてあげてると思っていたんです。それがある時、子どもたち皆が集まって、私をぎゅっとしてくれたんです。ちょうど自分自身が辛い時期だったんですが、実はこの子たちにいつも抱きしめられてたんだなと、私にはこの子たちがいるんだなということを感じました。
私が生きている間、この子たちにできることはしてあげたいと思ったんです。それが、ずっと自分の力や励みになって、こうした施設を作るまでになりました。
子どもたちに気づかせていただけて、本当にありがたいと思っています。それが、自分の元気の源です。

――ここっちゃに期待されることはありますか

ここっちゃを中心として、商店街が賑わうといいなと思います。そして、それぞれ独立して、もっと賑やかになり。それが後々には町の活性化に繋がるというような。
分け隔てなく、いつも助け合えるような街になるといいなと思っています。
健常者が障がい者を助けるイメージが強いけれど、障がい者も力を持っています。
すごいねではなく、健常者と障がい者が手を取り合って生きる街があると。国の見本となるような、そういった直方市になるといいなと思っています。

――今後の目標などありましたら教えてください

施設のことでは、子どもたちが成長してステップアップして、一般就労に向けていくというところです。
今、保護者からグループホームを造ってほしいという声もいただいていて、待ってくださいとお伝えしています。
自分が元気な間は、あれば助かるという皆さんの声があれば、そこまではしたいなという気持ちと。
子どもの施設と、高齢者の施設と隣り合わせにあって、行事も一緒にしたり触れ合いながら活動できる場を作って、自分の最後を迎えられればと思っています(笑)。

――今日は、ありがとうございました。

取材日:2023年2月28日

【取材の撮影ご協力】
株式会社オフィスブロッサム
代表取締役 りきひさけんたさん
佐野桃佳さん(北九州市立大学在学)